【虫歯の自然治癒を促進させる4つの方法】治療なしでどこまで治るか?
「虫歯って自然治癒で治ることはあるの?」などと、虫歯を放置しても自然に治るのか気になっていませんか?
ごく初期の虫歯であれば自然治癒のはたらきによって、元の健康な歯に戻すことが可能です。
しかし、痛みがある場合などすでに進行してしまっている虫歯は自然治癒によって元の歯に戻すことはできません。
こちらの記事では、虫歯が自然治癒のはたらきで治る理由や自然治癒ができる虫歯について詳しく解説しています。
目次
虫歯を放置しても自然治癒のはたらきで治る?
虫歯は自然治癒によって治ることがあります。
しかし、自然治癒できるのは初期段階の虫歯であり、痛みがあるようなすでに進行してしまっている虫歯は自然治癒しません。
進行している虫歯を放置すれば、より激しい痛みに変わったり、将来的に抜歯が必要になったりします。痛みがあるようであれば、できる限り早いうちに歯医者で治療する必要があります。
虫歯を放置するリスクについて、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひあわせてチェックしてみてください。
(関連記事)虫歯を放置すると病気になる?考えられる5つのリスク|藤沢駅南口より徒歩3分の歯医者|湘南ライフ歯科
初期の軽度の虫歯や黒い点は自然治癒が可能
初期段階の軽度の虫歯であれば、自然治癒が可能です。
虫歯菌によって作られた酸によって、歯の表面のエナメル質からカルシウム・リンなどが溶け出してしまう現象を「脱灰(だっかい)」と言います。
しかし、唾液にはカルシウムやリンが豊富に含まれており、脱灰によって溶け出した成分は唾液が修復します。唾液が歯を修復する現象を「再石灰化」といい、この再石灰化によって虫歯は自然治癒され、元の健康な歯に戻すことが可能です。
また、虫歯によって奥歯の溝に黒い点ができることがあります。主に黒い点は初期虫歯が硬化したもので、一度は脱灰によって虫歯になったものの、再石灰化されて初期段階の虫歯が硬くなっている状態です。
初期虫歯の硬化による黒い点は削る必要がなく、自然治癒によってなくなる可能性があります。
ただし、黒い点の原因の一つとして、歯の中で虫歯が進行しているケースも考えられます。そのため、黒い点がある場合は放置するのではなく、一度歯医者で検査してもらいましょう。
どこまで進んだら虫歯は自然治癒できない?虫歯の進行段階別の主な治療法
虫歯の進行度によって、自然治癒できるかどうかが異なります。
虫歯の進行度に対する、特徴と主な治療法をまとめました。
進行度 | 特徴 | 主な治療法 |
---|---|---|
C0 | ・脱灰によって歯の表面のエナメル質が溶け始めた状態 ・痛みがなく自覚症状もないことが多い |
・正しいブラッシング ・フッ素塗布などで自然治癒を促す |
C01 | ・エナメル質が溶けて穴が空き始めている状態 ・痛みはほとんどない |
・虫歯部分を取り除いて詰め物で修復 ・治療回数は1回程度と少ない |
C2 | ・歯の内部まで虫歯が進行している状態 ・痛んだりしみたりする |
・虫歯部分を取り除いて詰め物で修復 ・複数回の治療が必要 |
C3 | ・虫歯が神経にまで達した段階 ・何もしていなくても激しい痛みを感じることがある |
・神経を取り除く治療が必要 ・治療回数も多くなる |
C4 | ・歯はほとんど失われて、歯根だけ残っている状態 ・何もしていなくても激しい痛みを感じやすい |
・抜歯が必要になることがある ・抜歯後は入れ歯やインプラントなどで歯の機能を取り戻す |
結論から言いますと、虫歯を自然治癒できるのはC0の段階までです。
C1まで進行した虫歯は自然治癒によって元の歯に戻すことはできません。ブラッシングをしたり、フッ素入りの歯磨き粉で自然治癒を促したりしても、虫歯は治らず徐々に悪化していきます。
そのため、歯の痛みを感じたり、黒い穴が空きはじめたりしている虫歯は歯医者で治療を受ける必要があります。
虫歯の進行度に応じた治療の流れについては、以下の記事で解説していますのでぜひあわせてチェックしてみてください。
(関連記事)虫歯の進行度に応じた治療の流れ|藤沢駅南口より徒歩3分の歯医者|湘南ライフ歯科
虫歯の自然治癒を促進させる4つの方法
虫歯は自然治癒ができなければ徐々に進行していきます。そのため、ごく初期段階の虫歯でも放置するのではなく、自然治癒を促進させることが大切です。
自然治癒を促す方法には主に以下の4つがあります。
- 歯磨きとクリーニングで歯垢を取り除く
- フッ素入りの歯磨き粉で歯を磨く
- キシリトールガムやリカルデントガムを噛む
- 歯磨きの後は重曹を溶かした水でうがいをする
それぞれの方法を詳しく解説していきます。
1.歯磨きとクリーニングで歯垢を取り除く
脱灰の原因菌は歯垢の中に含まれているので、自然治癒を促すためには歯垢を取り除く必要があります。
食後にはしっかりと歯磨きを行って、歯に歯垢・歯石を付着させないようにしましょう。歯ブラシだけでは歯と歯の間の歯垢まで取り除くのが難しいので、デンタルフロスも併用するのがおすすめです。
また、歯磨きやデンタルフロスを使用しても、全ての歯垢を除去することはできません。
数ヶ月に一度のペースで定期的に歯科医院を受診し、虫歯の予防として歯科医院のクリーニングを受けましょう。
2.フッ素入りの歯磨き粉で歯を磨く
フッ素入りの歯磨き粉を使用するのも自然治癒を促す方法の一つです。
フッ素には歯の再石灰化を促すはたらきがあり、小さな虫歯であれば唾液とフッ素によって自然治癒が行えます。
歯磨き粉はフッ素入りのものを使用するのがおすすめです。
3.キシリトールガムやリカルデントガムを噛む
キシリトールには虫歯菌の成長や増殖を抑え、虫歯の原因となる酸を作りにくくするたらきがあります。キシリトールガムを噛めば、唾液が多く分泌されるため、虫歯になりにくい口内環境を保つことが可能です。
また、リカルデントには脱灰を抑制するはたらきや、再石灰を促すはたらきがあります。
虫歯の自然治癒を促進し、虫歯を予防するためにも、毎食後にキシリトールガムやリカルデントガムを噛むことをおすすめします。
4.歯磨きの後は重曹を溶かした水でうがいをする
歯磨きの後に重曹を溶かした水でうがいをするのも、自然治癒を促す方法の一つです。
口内が酸性の状態にあるときは虫歯になりやすいとされています。重曹は弱アルカリ性のため、重曹を水に溶かしてうがいすることで、虫歯の原因となる酸性を中和することが可能です。
また、口内の酸が中和されれば歯の再石灰化を促されるため、初期虫歯の自然治癒も期待できます。
ただし、重曹には強い研磨作用があるので、頻繁に重曹の溶けた水でうがいを繰り返せば、エナメル室が削られて歯に色がつきやすくなる可能性があります。
重曹を水で溶かす際は濃度を薄め、うがいもたまに行う程度にしましょう。
初期虫歯が自然治癒する期間
結論から言いますと、初期虫歯が自然治癒するのに明確な期間はありません。
自然治癒によって歯が元の健康な状態に戻っても、口内ケアを怠ればすぐに虫歯になる可能性があります。
期間を決めて自然治癒を促すのではなく、日常的に自然治癒を促す口内ケアを行って、初期虫歯の治癒、および虫歯の予防に努めましょう。
このコラムの監修者
小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |