歯周病の症状とは?歯周病が進行する流れや原因、治し方について解説
「歯周病の具体的な症状が知りたい」
「痛みがなくても歯周病にかかっていることはある?」
このように、歯周病の症状について気になっていませんか?
歯周病は自覚症状がほとんどなく進行する疾患で、重度になると腫れや痛みを感じるようになります。放置すれば最終的に歯が抜けるだけでなく、全身疾患にも影響を及ぼす病気です。
歯周病は痛みを感じはじめてから治療するのではなく、定期的に歯科医院を受診して予防に努めることが重要です。
こちらの記事では、歯周病の症状や進行の流れ、治し方、歯周病を放置するリスクについて解説しています。
目次
歯周病とは?歯の周りの組織が炎症を起こす病気
歯周病とは歯茎や歯を支える骨など、歯の周りの組織が炎症を起こす病気です。
歯周病になると、歯茎が炎症を起こして赤くなったり腫れたり、痛みを感じたりします。
歯周病は自覚症状がほとんどなく進行していく病気で、腫れや痛みなど、自覚症状が現れた時にはすでに重症化している可能性が高いです。
さらに歯周病が進行すると、膿が出てくるようになり、最終的には歯が脱落してしまったり、全身疾患に影響を及ぼしたりするおそれがあります。
また、歯周病は重症化すると治療が難しくなる上、治療に時間がかかります。
そのため、痛みなど自覚症状が出てから治療をするのではなく、定期的に歯科医院を受診して予防をすることが重要です。
歯周病にかかっている人の割合
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」によれば、歯周病にかかっている人の割合は年齢がますにつれて高くなる傾向にあり、45歳以上の約半数は歯周病にかかっているとされています。
さらに、歯周病の自覚症状がある人の割合は、65歳未満の成人で15%前後、65歳以上の高齢者で約10%とのことです。
そのため、多くの日本人が歯周病で自覚症状を感じていると言えるでしょう。
痛み出したら手遅れ?歯周病の主な症状をセルフチェック
歯周病の主な症状をまとめました。以下の症状がみられる場合は歯周病の可能性があるので、セルフチェックにご参考ください。
- 口臭が気になる
- 起床後は口の中がネバネバする
- 歯と歯の間に食べかすが詰まりやすい
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯茎が下がって歯が長く見える
- 歯磨きをすると出血することがある
- 歯茎に触ると血や膿が出る
- 歯が揺れている気がする
上記の項目に、1つでも当てはまる場合は歯周病にかかっている可能性があるので、一度歯科医院を受診して検査・診断してもらいましょう。
歯周病は重症化するにつれて治療が難しくなる病気です。痛みや歯のぐらつきなどの自覚症状が現れたら、それ以上重症化させないために、早期に歯科医院を受診・治療を行いましょう。
歯周病の進行の流れ!初期段階や重度段階の症状と治療法
歯周病の進行する流れと、症状についてまとめました。
症状 | 歯周ポケットの深さ | 症状 |
---|---|---|
歯肉炎 | 2〜4mm | ・初期段階の歯周病
・腫れや変色が見られる ・食事や歯磨きで出血することがある |
歯周炎 | 6〜7mm | ・中期段階の歯周病
・歯を支える骨が吸収されはじめる ・歯がグラグラする ・歯肉が退縮して歯が長く見える |
歯周炎(重度) | 7mm以上 | ・重度の歯周病
・骨がほとんどなく歯が浮いているような状態 ・硬いものを噛めない ・歯肉から膿が出る ・口臭がキツくなる |
軽度の歯周病は「歯肉炎」とも呼ばれ、歯茎が腫れてブラッシングで出血するようになります。その後、歯周炎がひどくなっていくのが歯周病が進行していく流れです。
歯周病の症状によって治療法は異なり、人によっては歯磨きを徹底することで歯周炎が治る場合があります。
以下では、歯肉炎と歯周病の治し方について解説していきます。
歯肉炎はどれくらいで治る?歯磨きだけなら2〜3週間が目安
歯肉炎は2〜3週間歯磨きをしっかり行うことで治る可能性があります。
歯肉炎は初期段階の歯周病で、歯周ポケットの深さが2〜4mm程度の状態です。
歯と歯の間に付着している歯垢や、歯周ポケットの歯垢を歯磨きで取り除けば、症状は改善されることがあります。
ただし、歯磨きの仕方や歯肉炎の状態によっても異なるため、人によっては2〜3週間しっかり歯磨きしても歯肉炎が治らない可能性はあります。
一般的に歯肉炎は歯科医院で治していく必要があるため、まずは一度、歯科医院を受診しましょう。
歯周病の治し方は?自宅のセルフケアだけで治すのは困難
歯周病は、歯に付着した歯垢を取り除く治療を行います。
すでに進行している歯周病は歯周ポケットが深くなっており、日々のブラッシングだけで歯周ポケット奥深くの歯垢まで取り除くことは困難です。
そのため、自宅でセルフケアをしっかり行うと同時に、歯科医院でのクリーニングやPMTCを受ける必要があります。クリーニングで歯周ポケット奥深くの歯垢を取り除けない場合は、外科的治療も必要です。
歯周病は原因菌となる歯垢を取り除かなければ進行し続けるので、できる限り早めに歯科医院を受診しましょう。
歯周病の原因は?
歯周病の主な原因は、歯垢と歯石に含まれる歯周病菌です。
歯周病菌は時間が経つにつれて繁殖して炎症を引き起こします。歯茎が腫れたり、出血しやすくなったりするのは、細菌による毒素で炎症を起こしているからです。
歯石は歯垢を放置して徐々に硬く変化した状態のことで、歯磨きでは取り除くのが難しいので、歯科医院で取ってもらう必要があります。
なお、喫煙やストレス、食生活の乱れ、なども歯周病の間接的な原因となります。
歯周病を放置するリスク
歯周病を放置すると最終的に歯が抜けるだけでなく、次のような全身疾患にも影響を及ぼします。
糖尿病歯周病菌などの毒素が毛細血管から血中に入り込み、インスリンの機能障害を引き起こすと考えられる
病名 | 歯周病との関係 |
---|---|
誤嚥性肺炎 | 食べ物を飲み込む時に誤って気管入ると、歯周病菌も一緒に肺に入って肺炎を起こすことがある |
冠動脈心疾患 | ・歯周病による炎症が動脈硬化を進行させる ・血中から心臓に運ばれた歯周病菌が細菌性心内膜炎の原因になることがある |
そのほか、歯周病菌によって生成された毒素が、妊婦に対して低体重児出産を引き起こすとの報告もあります。
痛みや違和感がある場合は、「時間が経てば自然に治まるだろう」と放置するのではなく、できる限り早い段階で歯科医院を受診してください。
歯周病の治療・予防は湘南ライフ歯科へ
歯周病は自覚症状がなく進行していく病気です。「痛みや違和感がないから大丈夫」と考えてはいけません。
歯周病は早期に治療すると同時に、歯周病にならない予防を行うことが非常に大切です。
日々のセルフケアを欠かさず行いつつ、歯科医院でクリーニングやメンテナンスを受けましょう。痛みや違和感などの症状がない状態から、数ヶ月に1度は歯科医院を受診ください。
このコラムの監修者
小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |