歯周病と歯肉炎と歯周炎の違いは?症状や原因、治療法について解説
「歯周病と歯肉炎と歯周炎ってどう違うの?」
「歯周病の原因や治療法が知りたい」
などとお考えではありませんか?
歯肉炎や歯周炎の違いは炎症の進行状況です。初期段階の炎症は歯肉炎と呼ばれ、中度〜重度になると歯周炎と呼ばれます。歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称です。
では、歯肉炎と歯周炎の症状にはどのような違いがあるのでしょうか。
歯肉炎と歯周炎の違いや歯周病の原因と症状、治し方について解説しています。
目次
歯周病とは?歯周ポケットから進行する病気
歯周病は、歯肉や骨などの歯周組織が炎症を引き起こす病気です。
「歯周ポケット」と呼ばれる、歯と歯肉の間に溜まった歯垢に存在する細菌が繁殖し、毒素を産生することによって炎症が起きます。
歯周病が進行すると骨が溶けて歯を支えられなくなり、やがて歯がぐらついたり抜けたりします。
また、歯周病はお口だけでなく、全身疾患にも関係する病気です。歯周病の患者様は認知症や狭心症、脳梗塞、糖尿病にかかりやすいことがわかっています。
歯周病と歯肉炎と歯周炎の違い
歯周病は大きく「歯肉炎」と「歯周炎」の2つに分けられます。
歯肉炎と歯周炎の違いは次の通りです。
- 炎症の進行状況
- 症状
- 歯周ポケットの深さ
歯周病は進行状況によって呼び方が異なり、初期段階は「歯肉炎」と呼ばれます。歯肉炎は歯肉の腫れや赤みが見られるほか、歯肉からの出血を起こすことがあります。
歯肉炎になると歯周ポケットが形成され、深さは2〜4mm程度です。
歯肉炎からさらに進行した状態が「歯周炎」です。歯周炎になると歯を支える骨が吸収されはじめ、歯がぐらぐらすることがあります。
歯周ポケットの深さは6〜7mm程度ですが、7mm以上の重度になると、歯肉から膿が出たり、場合によっては歯が抜けたりします。
歯槽膿漏とは?
歯肉炎や歯周炎のほかに、「歯槽膿漏」という言葉を耳にしたことがある方は多いかと思います。
歯槽膿漏は歯周病と同じ意味の言葉で、かつては歯周病ではなく、基本的に歯槽膿漏と呼ばれていました。ご高齢の方は、歯周病よりも歯槽膿漏の方が聞き馴染みがあるかと思いますが、歯周病と歯槽膿漏は同じものと考えていただいて構いません。
なお、歯槽膿漏は膿が出ている状態のことなので病名ではありません。そのため、重度の歯周炎を歯槽膿漏と言うこともあります。
歯周病の進行段階|歯肉炎や歯周炎の歯周ポケットと症状
歯周病の進行段階における、歯周ポケットの深さや症状についてまとめました。
進行段階 | 歯周ポケットの深さ | 症状 |
---|---|---|
歯肉炎 | 2〜4mm | ・初期段階で軽度の歯周病
・歯肉の腫れや赤みが見られる ・痛みはほとんどない ・食事や歯磨きで出血することがある |
歯周炎 | 6〜7mm | ・中度の歯周病
・歯を支える骨が吸収されはじめる ・歯がグラグラする ・歯肉が退縮して歯が長く見える ・口臭がキツくなる |
歯周炎(重度) | 7mm以上 | ・重度の歯周病
・骨がほとんどなく歯が浮いているような状態 ・硬いものを噛めない、食事が不自由になる ・歯肉から膿が出る |
歯周病は自覚症状がほとんどない病気です。歯肉炎の段階では痛みがないため、歯肉炎になっていることに気づきにくいです。
歯周病がさらに進行して歯周炎になると自覚症状を感じるようになります。その状態を放置すると重度の歯周炎となり、歯肉から膿が出たり食事が不自由になったります。
また、歯周病は重症化するにつれて治療が難しくなるので、定期的に歯科医医院を受診するとともに、自覚症状を感じたら早期に治療を受けることが大切です。
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歯周病(歯肉炎)の原因
歯周病の原因は、歯磨きが不十分で歯に残ってしまった歯垢(プラーク)です。
歯垢の中に潜む歯周病菌が産生する毒素によって、歯肉が炎症を起こし、歯周病が進行します。
また、歯周病の間接的な原因として、ストレスや不規則な生活習慣、喫煙などがあります。
たばこは口内の細菌の繁殖を招くほか、ストレスは唾液の分泌量を減少させるなど歯周病のリスクを高めます。
歯周病を予防するためには、歯垢・歯石を除去するだけでなく、整った生活習慣を送ることも重要です。
歯周病の治し方は?歯肉炎からひどい歯周病の治療法
歯周病は、歯垢・歯石を取り除く処置「プラークコントロール」や、ぐらついている歯を固定する基本治療を行います。
プラークコントロールの基本は、患者さまご自身の日々のブラッシングです。歯科医院ではブラッシング指導などを行って、正しい磨き方で健康的なお口を取り戻します。
そのほか、歯科医院ではスケーリングやルートプレーニングといった処置を行って、ブラッシングだけでは取り除けない歯垢・歯石を除去し、歯垢の再付着を防止します。
また、歯周病が進行して歯がぐらついている場合は、歯を固定する治療が必要です。ぐらついた歯を元に戻すことは難しいため、隣の歯に接着するなどして悪化しない処置を行います。
ひどい歯周病・歯周炎の場合は、歯肉部分を切開して歯周ポケット奥深くの歯垢・歯石を直接除去する「フラップ手術」など、外科治療を行うこともあります。
以下の記事では、当院の歯周病治療について詳しく解説していますので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
(関連記事)歯周病治療 | 湘南ライフ歯科|藤沢駅南口(鵠沼東)徒歩3分の歯医者さん
歯周病は自宅での歯磨きやうがいで治る?
歯周病は一度進行すると、自宅での歯磨きやうがいだけで治すのが困難になります。
歯周病は歯周ポケットに歯垢や歯石が付着して進行していきます。日々の歯ブラシで歯周ポケットの中の歯垢・歯石まで除去するのは難しく、セルフケアだけだと歯周病は進行する可能性が高いです。
また、プラークは粘着性が強いため、うがいをした程度では取り除くことができません。
そのため、歯周病を治療するためには、日々のブラッシングをしっかりと行うとともに、ブラッシングだけでは取り除けない歯垢・歯石を歯科医院で取り除いてもらう必要があります。
歯周病の治療は痛い?歯周病治療の流れ
歯周病の治療は次の流れで行われます。
- ①検査・精密検査
- ②治療
- ③再検査
- ④メンテナンス
まずは検査・精密検査を行い、お口の状態と歯周病の進行状況を確認します。
検査後はプラークコントロールをはじめとした基本治療を行います。
基本治療は歯を削らないので痛みはほとんどありません。ただし、歯肉周りの歯石を削って落とすときに痛みがでることがあり、必要に応じて表面麻酔を使用し、痛みを軽減させます。
4〜6回の基本治療でお口が綺麗になったら、改めて歯茎の状態を確認します。
経過を見て再検査で問題ないと診断されれば、セルフケアを行いながらメンテナンスで歯周病を管理していくといった流れです。
歯周病の治療について、以下の記事で解説していますのでぜひご確認ください。
(関連記事)歯周病の治し方と治療の流れ | 湘南ライフ歯科|藤沢駅南口(鵠沼東)徒歩3分の歯医者さん
歯周病の治療は湘南ライフ歯科へ
歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」の2種類に分けられ、進行状況に応じて呼び方が異なります。初期段階の歯周病を歯肉炎と呼び、中度〜重度になると歯周炎と呼ばれます。
自宅での歯磨きやうがいだけで歯周病を直すのは困難です。歯周病を治すためには、プラークコントロールをはじめとした基本治療が必要です。
当院では、患者さまのお口の状況を把握した上で、一人ひとりに合わせた歯周病治療を行っております。歯周病でお悩みの方は一度当院へご相談ください。
このコラムの監修者
小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |