歯茎の腫れにはどんな原因がある?腫れてしまったらどうしたらいい?
こんにちは。
藤沢駅南口より徒歩3分の歯科医院【湘南ライフ歯科】です。
痛みのない歯茎の腫れは忙しいと放置されがちですが、腫れることで体の異変を知らせていることがあります。
歯茎の腫れを繰り返している場合には、すでに歯周病が進行していることもあります。
歯茎が長期間腫れている、腫れる回数が増えたなどの症状がある方は、放置せず歯科医院の受診が必要です。
そこで今回は、歯茎が腫れる原因と腫れてしまったときの対処法について解説します。
目次
痛みがないのに歯茎が腫れる
歯茎が腫れていても痛みのない場合があり、その主な原因は3つです。
- ・虫歯
- ・歯周病
- ・腫瘍
上記の原因は、いずれも放置して完治できるものではありません。
まずは、腫れることで歯や歯茎にどのような影響があるのかを知っておくことが重要です。
虫歯
虫歯が原因で歯茎が腫れる場合は、虫歯が歯髄まで進行しているか神経が壊死している恐れがあります。
歯髄まで達している虫歯は「C3」、神経が壊死している状態の虫歯は「C4」と診断されます。
C4と診断された場合の虫歯は歯の根本に膿がたまることもありますが、神経が壊死しているため痛みを感じないのが特徴です。
膿がたまって歯茎が腫れているため、歯磨きなどで出血以外にも膿が出ることがあります。
痛みがないことで歯茎の腫れを放置すると、膿がたまるにつれて激しい痛みを感じやすくなります。
虫歯により歯茎が腫れるのは、炎症しているためです。早めに歯科医院で受診しましょう。
ただ、歯科医院へすぐに行けないという方もいるかと思います。
その場合は、炎症を抑えるためにうがい薬を使用し、口腔内の殺菌を試みてください。
うがい薬がない場合は、ノンアルコールのマウスウォッシュでも代用が可能です。
ただし、アルコールが含まれたマウスウォッシュは、炎症を悪化させる可能性が高いため注意しましょう。
歯茎の腫れの一時的な応急処置が知りたい方は、以下のコラムも参考にしてみてください。
(関連記事)虫歯で顔や歯茎が腫れる?腫れる原因や治療法について解説|寿命を縮める4つの原因を紹介|藤沢駅南口より徒歩3分の歯医者|湘南ライフ歯科
歯肉炎や歯周炎からの歯周病
歯肉炎や歯周炎など歯周病は正しい歯磨きができず、歯の磨き残しにより歯にプラークが長期間付着してしまうことが原因です。
軽度の歯周病の場合は、歯に付着したプラークを取り除き、口腔内を清潔に保つことで改善する可能性があります。
ただし、歯周炎まで進行しているケースでは、プラークがすでに歯石となって歯磨きでは除去できない状態です。
歯石になってしまうと、歯科医院での歯石除去の治療が必要になります。
また、歯周病によって腫れた歯茎は、赤く引き締まりがありません。
歯磨きによって歯茎を強く擦ると出血し悪化することもあります。
歯石除去とともに、正しい歯磨きの方法も歯科医院で習得することをおすすめします。
腫瘍
腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、悪性の場合は歯肉にできる「がん」です。
虫歯や歯周病による腫れと違い、良性・悪性ともに白いできものができたような腫れ方をします。
良性の腫瘍は、歯茎が腫れる前に口腔内の治療などを行い、かぶせ物などをしたあとにできることがあります。
かぶせ物が歯茎に当たったり、擦れたりすることで刺激を受けてできるためです。
もし、歯科医院での治療後に白いできもののような腫れができた場合は、かぶせ物などが合っていない可能性があります。
治療した歯科医院に相談すると良いでしょう。
悪性の腫瘍の場合は、初期は口内炎のように見えます。
口内炎と異なるのは、口内炎の場合は1~2週間程度で完治しますが、悪性の腫瘍は完治しません。
時間経過とともに形がいびつになり大きくなるのが特徴です。
歯肉がんは、あごの骨に転移するスピードが早いため、早期がんでもあごの骨を切除する必要があります。
白くいびつな形で歯茎が腫れる場合は、早急に歯科医院で受診しましょう。
歯肉がんを発症すると、歯茎の下にあるあごの骨へ短期間で浸潤(しんじゅん)してしまうことが多く、早期に発見できてもあごの骨を削り取る必要があります。
そのため歯肉とあごの骨と一緒に歯も失ってしまうことになり、顔の輪郭が変化する可能性もあります。
歯茎の腫れを繰り返すのは疲れが原因
歯茎が腫れるのは、口腔内に存在する細菌が活発になり、歯茎に炎症を起こすためです。
口腔内には300~700種類の細菌がいるといわれ、毎日歯磨きを丁寧に行っていても1,000~2,000億個は存在します。
免疫力が保たれているときには、これらの細菌の活動は落ち着いていますが、体調不良や疲労を感じると細菌の活動が活発になるのです。
また、もともと軽度の歯肉炎がある場合もストレスや疲れによって免疫力が弱まると、歯茎が腫れたり痛みが生じたりといった症状が起きます。
ストレスや疲れを感じると歯茎が腫れるという方は、免疫力が落ちているときはより歯磨きを丁寧に行うことで腫れも軽減できるでしょう。
体調によって歯茎の腫れが現れる方は、歯肉炎の治療がおすすめです。
歯肉炎は進行すると歯周病となり、最悪の場合は歯を失うことがあります。
腫れがある場合は放置しない
歯茎の状態は、口腔内の健康状態を示すバロメーターです。
何の原因もなく、歯茎が腫れることはありません。
痛みがなく一時的に腫れてすぐに治まるからといって、腫れを放置することはおすすめできません。
まれではありますが、腫瘍ができていて腫れることもあり、早急な治療が必要なケースもあるのです。
また、歯肉炎や歯周炎なども時間をかけ、歯周病に進行します。
虫歯治療が完了してしばらく経っている場合は、詰め物の下で虫歯が再発している恐れがあります。
歯周病菌が存在するのは口内だけでない
歯肉炎や歯周病など口腔内と全身疾患は関連していないと思われがちですが、密接に関係しているとの報告もあります。
口腔内に歯周病菌が歯茎の傷から血液の流れに乗って、心臓や脳の血管の壁で炎症を起こすのです。
炎症が起きることで、狭心症や脳梗塞の原因になることがあります。
また、歯周病と糖尿病との関連性が高いことも知られています。
糖尿病によって免疫機能が低下すると歯周炎が悪化することもわかっているのです。
日本歯周病学会の「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン」によると、糖尿病患者に対する歯周治療を積極的に行うことをすすめています。
つまり、口腔の疾患は全身疾患と関連しているため歯茎の腫れを放置することで、全身にも影響があるということなのです。
セルフケアには限界がある
多くの方は、毎日食事のあとや就寝前に歯磨きを行っているかと思います。
さまざまなメディアで口腔ケアの大切さが発信されていることもあり、歯の健康を守ることの大切さを知っている方もいるでしょう。
毎日の歯磨きをしていても、どうしても磨き残しはあります。
デンタルクロスや電動歯ブラシを使っていても完璧に歯の汚れを取り除くことはできません。
また、知らないうちに間違ったケアをしてしまい逆効果となってしまうこともあるのです。
セルフケアで気を付けたいこと
利き手で歯ブラシを持って歯磨きをする方がほとんどだと思いますが、利き手だと無意識に力が入ってしまっていることがあります。
力強く歯磨きすると、歯茎を傷つけ擦過傷を作ってしまったり、傷口から口腔内に存在する細菌が侵入し、口内炎になったりすることがあります。
口内炎になり、それを傷つけると歯茎の腫れの原因になってしまいます。
歯磨きによって出血することを繰り返す場合には、歯科医院でブラッシング指導を受けてみるのもいいでしょう。
プロフェッショナルケアを定期的に行うメリット
歯磨きなどのセルフケアだけでは、歯磨きの癖などによって磨き残しが出てしまい完璧に歯の汚れを取り除くことができません。
そこで利用したいのが、歯科医院によるプロフェッショナルケア(予防歯科)です。
虫歯などの歯の治療が必要でないと歯科医院の受診をしてはいけないと思っている方がいらっしゃいますが、近年では予防歯科を積極的に行っている歯科医院もあります。
歯科医院によるプロフェッショナルケア(予防歯科)では、自身では気づいていない初期の虫歯や歯肉炎、歯周炎も発見することが可能です。
また、磨き残しによって付着した歯石除去などのクリーニングも行ってもらえます。それ以外にも、必要に応じてブラッシング指導をしてもらえるため、セルフケアにも役立ちます。
まとめ:歯ぐきの腫れは体調を知らせるシグナル
歯茎が腫れる原因や対処法をまとめると以下のとおりです。
- ・歯茎が腫れる主な原因は、虫歯・歯周病・腫瘍の3つ
- ・ストレスや疲労などが原因で歯茎が腫れることがある
- ・口腔の疾患は全身疾患と関連しているため、歯茎の腫れを放置しないこと
- ・歯磨きの仕方によって歯茎を傷つけ、腫れの原因を作ることもある
- ・セルフケアとプロフェッショナルケアを一緒に行うことが大切
歯茎の腫れの原因は、虫歯や歯周病によるものです。
痛みがないからと放置せず、信頼できる歯科医院へ相談するようにしましょう。
当院では、患者さまの生活スタイル・嗜好品・毎日行っているセルフケアに合わせて口腔内を整えるお手伝いをしております。
プログラムを行う専任の歯科衛生士もおりますので、口腔内のトラブルで悩んでいる方や腫れが気になる方はお気軽にご相談ください。
このコラムの監修者
小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |